顕ちゃんが仁吉のお墓参り

 顕ちゃんが、先月末に吉良の仁吉のお墓へお参りに行ったと、モバCUEで
写真を挙げていた。モバCUEでは多くを語っていなかったが、その時の旅の
お話。


 今、ドラマ撮影で東京に入っているが、東京に入っちゃうと、ドラマの仕事
だけやればよくて、他の仕事が入らない(北海道だとバラエティだのラジオの
収録だの忙しい)から楽。丸々一日空いてお休みになるということも全然あり
(殊更そう言うってことは北海道では一日休みもないんだね)、プチ旅行を
しようかということになった。愛知県の吉良町というところに仁吉のお墓が
あるらしいので、行ってみようと思い立ち、朝早く起きて三時間かかって
行った。本当に吉良の仁吉のお墓がお寺の中にあった。侠客、渡世人である
裏街道の人間のお墓がお寺の中に堂々とあるというのも珍しい。
 吉良町には三大有名人がいる。吉良三人衆といって、吉良上野介義央、
『人生劇場』の尾粼士郎、そして吉良の仁吉。仁吉は義理と人情の板ばさみの
男として有名。源得寺というお寺に入るとでっかい石碑があり、「義理と人情」
と書いてある。ココから石碑とお墓の写真が見れます。↓

http://www.asahi-net.or.jp/~PU7T-KMR/aki262.htm


 そこに仁吉のお墓があった。仁吉が荒神山で亡くなったときに次郎長親分
さんが建ててくれたお墓。愛知県吉良町は次郎長のところから遠いが、
裏を返せば、遠いところまで権力があるんだよってことを、東海道一の親分
だってことを知らしめるために吉良町に建てた。
 家紋っていうのがおもしろくて、上下さかさまに彫ってある。普通には
生きられなかったって意味。
 そのような話を源得寺の和尚さんが教えてくれた。顕ちゃんがお墓に
手を合わせてお参りしていると、和尚さんが「本堂の中に入ってきなさい」
と入れてくれて、仁吉の遺品などを見せてくれた。
 和尚さんが「あなたはどういう理由でここにいらっしゃったんですか」
と訊くので、顕ちゃんは、実はNHKのドラマで僕が吉良の仁吉の役を
演じることになったんで・・・と説明。
 「そうですか、うちの街のことを演じてくれるんですか」と家の中にまで
通された。おじいちゃんからおばあちゃんからお母さんからいろんな方が
出てきた。その和尚さんというのはまだ若い方で、おじいちゃんから
「あんた、もう今日の仕事終わっただろう、せっかくだから一日
つきあってあげなさい」と言われ「うん、わかった。ちょっと待ってて」
と、どこかに電話をかけた。「今、町長さんと連絡取ったから行きましょう」
顕「いや、私、いいですから。そういうつもりで来たんじゃなくて、今日一日
  しかありませんし、ポッとお参りして帰ろうと思ってたんですよ」
和尚さん「そうですか、そうですか。わかりました、わかりました。じゃあ
      町長さんの所へ行きましょう」
 (役場にて)
 町長「どうもどうも!吉良町の町長です」
 握手して、仁吉の話をしてくれて、「広報呼ぶから写真を一枚撮っていって
ください」「握手しようかー、こっち見て笑って−」バシャッ(シャッター音)。
町長「町長だよりっていうホームページあるから、ホームページにビシッと写真
   載せて大々的に宣伝してやっから」
顕「いや、町長、ちょっと待ってください!そうなると事務所を通さなきゃ
  いけなくなって、そう簡単にという訳にはいかないんです・・・」
町長「あーわかった、わかった。そんなにめんどくさいならいいわ。
   せっかく撮ったから写真だけ送らせてくれ」
ということになり、事務所の住所を教えて別れた。


 和尚さん「仁吉の本当の姿を見た曾おじいちゃんのひ孫が港で魚料理屋を
       やってるのでちょっと行きましょう」
顕「いや、いいですから!僕ほんとにおいとましますから」
和尚「ここの刺身が一番おいしいですからごちそうしますよ」
 (魚料理屋にて)
店の大将「そうかそうか、うちの街のことテレビでやってくれるのか、
     ありがとう、ありがとう」


 最後は和尚さんが駅の改札口まで見送ってくれて、渡したいものがあると
言って尾崎士郎っていう演歌歌手が「吉良の仁吉」っていう歌を出してるその
CDを、どうぞ聴いてください、と渡された。
 すごい旅だった。仁吉はみんなに愛されている。時が止まったような街だった。


 この話を聞くと、素敵な出会いがあって、いい旅できて良かったね、と思う
けど、顕ちゃんは人見知りも激しいし、そんな急な展開にすぐ乗って
「いいですねー行きましょう♪」となるような人ではないので、その場その場で
すごくテンパってたんだろうなぁ。「いや、私はもういいです・・・」と
言いながら「いいから、いいから!さあ行きましょう!」と無理やり
引っ張りまわされてた様子が目に浮かぶわ・・・。