旅立ちの季節

 なので1996年春、モリ(森崎博之)が北海学園大学を卒業して、
就職するって東京へ行った時のお話を。
 法学部だったモリは、卒業するのに6年もかかってしまった。
ナックスの五人の中で、浪人も留年もせずストレートに入学して
4年で卒業したのは顕ちゃんだけ。モリは顕ちゃんより2歳上だが
この年、二人は同時に卒業、就職することに。
 モリは春からの就職先に「勤務地は北海道以外」という希望を
出していた。演劇と仲間たちに後ろ髪引っ張られる思いを断ち切りたかった
ため。
 モリが東京へ発つ日、演劇研究会の後輩たちみんなで空港へ見送りに行った。
みんなで向かい合ってアーチのトンネルを作り、モリが「おおすまんな」と
爆笑しながら通った。
 琢ちゃんが「いやあ最後に先輩、俺におごらせてよ」と、夕張メロン味の
ソフトクリームを、二年間一緒にやってきて初めておごってくれた。
(私もどうでしょう祭りの帰り、新千歳空港雪印パーラー夕張メロン
ソフト食べた!)
 その以前に、モリが会社の説明会で東京へ行った時、帰りに、当時ナックスの
みんなが憧れてた劇団の芝居を観に行った。その劇団グッズである黒いキャップを
五人おそろいでお土産で買って帰った(モリ自身は頭がでかくてそのキャップを
かぶることができなかったのだが)。特にシゲはそのキャップをいつもかぶって
くれて、最後のお見送りの日にもかぶってきてくれた。
 モリが「もう行くわ」と行った時、じゃあ最後に一人一言ずつ挨拶するわ、
ってことになり、ハムくん(SKグループのすがの公くん)が
「じゃあ俺から。モリ・・・」と、あの舌ったらずの声で言った瞬間、
モリはそれまで我慢していたものがあふれちゃってボロボロ号泣。
ずっと嗚咽を漏らしてその後も、飛行機に乗って飛び立った後も
機内でずっとぐしゅぐしゅやってたそうだ。


 それから九ヵ月後にすぐ会社を辞めて札幌に戻ってきたんだけどね。


 東京での住まいを後輩たちには教えないって言ってたのに、お盆に
帰ってきたとき、みんなに家の場所を教えちゃって、洋ちゃんが早速
遊びに行って、そこでAVを見つけて、昼間モリが会社に行っている間
モリの部屋で一人で素敵なひとときを過ごしたとか。


 いいなぁー、学生時代からの仲間って。