どうでしょう写真集2

 写真集について、詳しく書いて欲しいというリクエストを頂いていたので
(誰からよ?)今日は、私なりの感想を述べようと思う。
 まず、自分がカメラを手にして思うのは、”自然な”写真を撮るのが
いかに難しいかということ。カメラに向かってにっこり微笑み
「ハイポーズ」みたいなありきたりな写真じゃなくて、”ドキュメンタリーな”
人が何かに没頭していたりする姿を写したいっていつも思うのだけど、
そのシャッターチャンスをモノにするには、常にカメラを構えてなくちゃ
撮れないし、動いているところを写すのは単純に難しい。
 どうでしょう写真集を見てみると、やはり、「ハイ、写しますよー」的に
写しているものが多くて、あとは寝ている所だとか、やっぱ静止してないと
無理だ(笑)。でもこの写真集がドキュメンタリー風味になっているのは、
水曜どうでしょう』という番組作りの仕事中の写真だからだ。
 台本がなく、勝手気ままにしゃべっているどうでしょうの世界に入り込んで
テレビを見ていると、作られたテレビ番組を見てるというより、四人の旅行を
覗き見してるような気分になる。だが、そのうち注意して見るようになると、
洋ちゃんが演出的観点から番組のことを一生懸命考えて、面白いことを
言おう、言おうとしているのがわかる。「こんだけしゃべってこのテープ
何分使われるのかわかりませんけど」「V(TR)回してくれるんだったら
何でもする。V回さないんだったらあなたたちとただの旅行には行きませんよ」。
あとがきでうれしーが書いているように、ロケにはできふできというものがあり、
現場で盛り上がったものはいいけど現場で膨らまなかったところは編集で
どう頑張っても膨らまない。それでも一定レベルの番組の質を保っていかなきゃ
ならない。藤やんも、ゲラゲラ笑ってはいるけれど、必死なのだ。
そういう”一生懸命の裏側”がちょこっと垣間見れるのがこの写真集だと思った。
藤やんがタレントの二人の写真を撮ってる。その姿を、離れた所からうれしーが
また写真に撮る。もしくは、うれしーがデジカムで撮影してる本番中。その姿を
藤やんがカメラで写す。こういう構図はテレビでは見られないものなので、
興味深かった。
 何枚か、公衆トイレから出てくる写真があり、これこそ現実味のある
写真だなぁと思った。”ドキュメント”好きの私としては(笑)。
旅行してるんだな、と思う。旅してるといろんな所の公衆トイレに
行くことになるから。
 北欧の旅で、デンマーク・オーデンセへ行った時、放送では触れなかった
けれど、この町には、実は大泉さんの親戚が住んでいて、みんなで会いに
行った。とか、福岡空港で、ミスターの写真を何枚か撮ってたら、オレを
写せとばかりに大泉さんがやってきた。というような裏話的撮影メモも良かった。
 コスタリカで四人並んでいい感じの日差しの中、作りじゃない笑顔で
写っている写真。四人ともかわいらしい!メモを見ると、撮影をすべて
終えた最後の日に、ロケに同行した人に撮ってもらった、とある。
プレッシャーと緊張の仕事が終わったあとの笑顔だったんだ。
 そしてこれからも歩いていく、喜界島でリヤカーを引く三人の後ろ姿の
最後の写真。うれしーが、写真集を作ろうと考えたときからこの写真を
最後の一枚にしようと決めていた、一生どうでしょうをしようとしている
男達にふさわしい後ろ姿の写真。後ろ姿だけど、寂しくない。
 大切にします。うれしー、ありがとう。