『かもめ食堂』を観た

 ゴールデンウイークが終わり、やっと私の仕事も休みになって、今日は
水曜日レディスデーということで、映画を観てきた。
 東京のメル友さんが4月に観て、「DVDが出たら買う」って言うほど
気に入ってた『かもめ食堂』。私の住んでる地方では、やっと昨日から
公開になったばかり。
 全体的に静か〜な感じで、映画が終わってもなんだかその世界に浸っていた。
フィンランドが舞台で、映画の中では雨なんて全然降ってなかったけど、
私が映画を観終わって劇場を出たら静かに雨が降っていたのが、なんだか
映画の続きのような気分にさせられた。今日の雨は私の好きな雨だった。
空はわりと明るくて、ちょっと蒸し暑いぐらいで寒くはなくて、
細かい雨がしずかーに降っていた。
 なにも前情報を知らずに行ったんだけど、群ようこさん原作だったんだね。
群さんの愛猫ビーちゃんが出ていたのでやっと気づいた。群さんのエッセイは
一時期手当たりしだい読んでいたけど、途中で飽きてやめてしまった。
 登場人物はみんな、おしなべて淡々としていて、あまり大きく笑ったり
怒ったりしない。独特のお洋服がかわいかった。私だったら絶対にしない、
柄のブラウスにまったく違う柄のエプロンをかけてたりする。柄on柄。
それがちょっと、言うなれば着物感覚?すごく良かった。
 スナフキンとミーは異父兄妹なんだって。ニョロニョロは電気を食べて
生きてるんだって。知らんかったわー。
 映画の中で「フィンランドの人はのんびりしてるイメージ」とか言ってたけど
私はフィンランドがどんなイメージとか考えたこともなかったな。


 うれしーが、「のん気な人は魚釣りに向いてない」と言ってたけど、
それはすごくよくわかる。「じっとしてられない人が、のんびりしてる
気分になるために釣りをする」だから「普段からじっとしてられるのん気な
人は、わざわざ釣りをする必要はない」そうそう。そして釣りって、
何もしないでじーっとしてたんじゃ、なりたたないのよね。意外と
忙しいの。私は時間が許すならいつまででもぼーっと考え事してられるな。


 ついまたどうでしょう関係に話が飛んでしまったが、『かもめ食堂』を
観たら、おにぎりが食べたくなるし、簡単なご飯でいいから、ちゃんと
作ろう。という気になった。料理嫌いなこの私でも、ああやって淡々と
ハラゴシラエの為の料理をこしらえるのを見ていると楽しそうだ。
それは『博士の愛した数式』の本を読んだ時にも感じたことだ。
家政婦の「私」が、豚肉のソテーと生野菜のサラダ、黄色くて柔らかい
卵焼き、どれもありふれているが今日一日の終わりに、幸福を与えてくれる
料理を作る。そういう場面を読むのがすごく楽しかったし、読むだけで
ほんとに幸せを与えてもらった。

 この気分がずーっと持続したらいいのに。