明日の記憶

 この映画、今から観に行こうと思ってる方は、今日の日記読まないで下さい。
ネタバレ注意。っていうか、あらすじ書いちゃってます。



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 水曜日はレディスデーで映画千円ですぜ、奥さん。って、全国的にそうじゃない
のかな?ともかく私の住む地域の劇場ではだいたいそう。水曜日に仕事が
休みで、用事もなければ、なるべく劇場へ映画を観に行こうと思う
今日この頃。
 今日観たのは『明日の記憶』。渡辺謙さん、樋口可南子さんが夫婦で、
夫が若年性アルツハイマーになるお話。最初は日常でよくある些細な物忘れ。
車のキーをどこに置いたかわからなくなったり、人の顔は浮かぶけど名前が出て
こなかったり。それがどんどん進行してくと打ち合わせの約束を忘れたり
25年間勤めた会社の中で迷子になったり。毎日同じものを何個も何個も買って
きたり。妻に連れられて病院で検査。
医師「今から言う三つの言葉を覚えてください、後で訊きますから。桜、電車、猫」
1分後くらいに「さっきの三つを言ってください」って言われた時には全然
思い出せない。


 レディスデーだけあって、私の周りには、おばさま方がたくさん座って
おられた。なんとその観客たちが、その場面で映画のスクリーンに向かって
口々に答え始めたのだ!
「桜とー、電車ー、えーっと、あと猫だったよね!」ちょちょちょっと、
あなたたちが渡辺謙さんと一緒にテストに答えてどーすんの!?劇場に来て
自分がアルツハイマーかどうか確認するのはヤメテください><  
でもちょっとおかしかったナ。受けた(笑)。


 渡辺えり子さんがえらく太ってたのにびっくり。私があんまりテレビ観ない
から知らなかっただけかもしれないけど、私の記憶にある、ナックスの
『LOOSER』東京公演観に来て楽屋に来てくれた頃のえり子さん
(もちろんそれは私も映像で見ただけ)よりかなり大きくなってるもの。
 仕事一筋でがんばってやってきたえり子さん(役名は不明)に、今まで
専業主婦だった樋口可南子さん(役名は佐伯枝実子)が「あなたのお店
(焼きものを扱う店)で働かせて」って頼むと、えり子さんはキビシイ
ことを言う(でも私は現実だと思った)。
「子供の手が離れたから暇つぶしに働こうったって、そんな人は初めてバイトする
高校生と同じ。歳とって物覚えが悪くなって一人前に口ごたえする分、やっかいで
高校生以下。今までどおり”奥さん”やってなさいよ」
でも夫の為、お金が要る奥さんは、必死で頼んで働かせてもらう。必死に外で
働いて、家に帰ると、アルツハイマーで会社も辞めた夫(まだ49歳か50歳)が、
「なんで帰りが遅いんだ!」と怒る。でも、その夫も元気に働いてる頃は、帰りが
遅くなるからって電話一本入れてくれたことがなかったのだ。娘が高校受験に
落ちた時も、バイクで事故った時も、妻が病気した時も、家のことはまったく
かまわず仕事仕事の生活。
 この辺が、私が病気の夫に同情できなかった要因。明日になったら今日のこと、
忘れてるかもしれないなんて、自分が自分でなくなっちゃう怖さといったらない。
それはかわいそうだと思う。忙しい仕事のストレスもこの病気の原因になったの
かもしれない。私の周囲の観客席からはすすり泣きの声が聞こえてきた。けど、
私は・・・正直、そんなに泣けなかったなァ。いや、みなさん、奥さんに
同情して泣いてたのかな?
 

 最後は奥さんの顔もわからなくなって終わり。施設に入っておだやか〜な
雰囲気で映画は終わったけど。
博士の愛した数式』しかり、最近こんな話が多いなぁ。