ねずみ男出演依頼

 (昨日の続き)

洋「俺だってね、最初は笑った。事務所の副社長がね、俺んトコに来て
  『洋ちゃんね、また映画の話来てるの。ジャンボリーもあるのに
   忙しくなっちゃうけどね、どうする、やる?』『何?どんな役?』
  『やるかどうか聞かして』『いや、役を教えて?どんな役か聞かないと』
  『洋ちゃん、やってね』『う、うん。映画だったらやるよ。どんな芝居でも
   今、演技したいから。やるよ、なに?』『そうお?』と言って副社は
  くすくすくすくす笑ってるわけ。『どうしたの、教えて?』
  『洋ちゃんね、ゲゲゲの鬼太郎っていう映画が実写版になるの』
  『ゲゲゲの鬼太郎?そうなんだー。で、何の役?』
  『何の役だと思う?』『ちょっとわかんないなー、何?』
  『ねずみ男!』って言った後はずっと笑ってたね。」


顕「なかなかねー、やりたいって言ってもできるもんじゃないですから。
  これからもずっと役作りをしていただいて」

洋「まぁ、そうだね。今回ばかりは死ぬ気で役作りしないとできないね。
  だって俺は口が臭いわけじゃないしね、屁もするよ、確かに屁は
  するけどだからって俺は屁が武器じゃないんだもん」

顕「毎日芋食わなきゃダメ。毎日芋食って毎日柱かじってりゃ
  いいんじゃないの。ノーメイク?」

洋「ぁんだぁ〜?!気に入らないね!お前ってやつがさー!気に入らない。
  釣りバカの時、メイクは寅さんやってた人がやってくれたんだよって
  言ったらあんなに羨ましがってたのに、今、嬉しそうだねー。
  俺、良かったよ。子供がいなくてね。『お前のオヤジ、ねずみ男だろ
  クセークセークセー!』なんて言われたらさー。いやー良かった。
  独身のうちにやっといてよかったね。」

顕「これはヒット間違いなしですよ。大泉さんがねずみ男をやるっていう
  だけで。これはシリーズ化してほしいね」

洋「俺は今回だけにしてほしいね。
  困っちゃったよ。インタビューで『ねずみ男の意気込みを』って
  言われても『いやーがんばりますよね』っちゅーだけでさ。
  『ねずみ男といえば大泉さん、って言われるように頑張りたいですね』
  って言った後に否定したもんねー『いや、違う!やっぱり違う!』
  とにかくがんばりますよ。一応特殊メイクもあるの。用意されてたんだよ、
  いろんなパーツ。眉毛につけるもんとか、ヒゲはもちろんあるけどね。
  アートディレクター・・・ビューティディレクターとかって言うんだけどさ、
  全体のニュアンスを、見栄えを見てトーンを決める人がいて、その人が
  『大泉さんがねずみ男って決まった時はピッタリだ!ってガッツポーズ
  した』って言いながら、いろんなパーツつけてったんだよね。
  俺の特殊メイク見ながら『その眉毛のその特殊メイク取っちゃおう』って。
  まんまでいいっちゅーの。どんどん俺、まんまになってね。いや、俺、
  つけてくれって。俺、まんまで出たいわけじゃない、なるべくつけてって
  言ったんだけど『大泉さん、いい!ヒゲと歯だけでいっちゃおう』
  ヒゲと出っ歯つくだけっちゅうんだもんね」
 
顕「そのまんまのあなたでいい。どんな映画でもあなたが出てくれば。
  多分水木しげるさんにも、もしお会いしたら『あっ』って指差すと
  思うよ。『彼こそねずみ男だ』って。」

洋「ひどいもんだよー。お前、釣りバカ日誌の撮影とちょっとかぶってん
  だよ。釣りバカ日誌石田ゆり子さんの恋人役やりながらも、京都行って
  ねずみ男やるんだもん。」

顕「この幅の広さ、なかなかないですよ。これ、売れっ子の宿命!
  これは大ヒット間違いなし。北海道は観ますよ。長蛇の列。」

洋「今回ばかりはあんまり観てほしいと思わないね」

顕「僕は観ます!ほんとに草の根活動。『大泉くんが出るんだけど観ない?』
  って言って、チケットを買い取って配る勢い。」



 劇場でこの映画が公開されるのは今からまだ一年後のことなんですけどね。