ベトナム土産話 その5

  ベトナムの市場でTシャツを買おうとしてる洋ちゃん。

洋「金のドラゴンの刺繍がバーッとされてる黒いTシャツがあったわけ。
  これくれって言ったらオネエちゃんがオーコレ15万ドンちゅーわけ。
  日本円で1500円だ。日本人にしてみたら確かに1500円の
  Tシャツ、そんなに高いわけじゃないけど、どう考えてもベトナム
  1500円は高いと。ノー!そんな高いもん俺買わないよ、と。」

藤尾「強気ですね」

洋「その場には社長も河野もいたし、どの辺からいきましょうね、ってったら
  社長が『そうだねーとりあえずは半額ぐらいからやった方がいいんじゃないか』
  で、7万ドンから始めたわけだ。『7万ドンでしょ、これ7万ドンしか
  出せないよ』日本円で700円だ。『オーノー!コレ本物、15万ドン、
  コレ刺繍、ダメー』とか言うわけ。『だめだめだめ、そんな1500円
  なんか出せないよ』そしたらうーんって電卓打って俺にパッて見せたら
  14万ドン、1400円。『ノーノー!高い高い高い』こんど俺が
  電卓とりあげて、ここここう!俺がちょっと譲歩して800円、8万ドンって
  打ったら『ノー!オニーサン、マフィア』とか言うわけ。俺らのことマフィア
  って言うんだよ。マフィアはあんたでしょとかって言ったら社長が
  『イエス・アイム・マフィア』グラサンかけておっかない顔して
  言ってるわけ。じゃあっつって向こうの人が今度13万ドンにするわけ。
  まだまだダメ、しゃーないなって俺も900円、9万ドンにして向こうは
  12万ドンにして、俺は千円以上は絶対出さないつもりでいたから、
  9万5千ドンにして、それでも向こうはそれじゃダメだって言うから
  『じゃもういい、俺は帰る』ってその場を離れると『オー!オニーサン待って
  わかったー』ってやっと下げてくるわけよ。なんとか俺は9万5千ドンにして
  950円でそのTシャツを買ったわけ。まあ950円いいとこだろうと
  思って喜んで帰ったわけだ。
  次の日に仕事したわけよ。向こうってちびっ子たちが絵はがきとかを
  売るわけ、観光客に。だいたい10枚ぐらい入ってるのかな。1ドルで
  売ってくるわけ。『1ドル1ドル〜』って買うまでついてくるのよ
  こどもが。『1ドル1ドル』って言ってるそのガキが俺と同じTシャツ
  着てんのよ。どう考えてもこの子は950円で、9万5千ドンでは
  買わなさそうなこどもだよな。一生懸命1ドルのはがき売る子だから。
  あーやな予感すんなーこのTシャツほんとはいくらすんだべ。って思って。
  副社に訊いても『950円は高いかもしれないね。それ道端とかで
  売ってるよ』って言うわけ。歩いてたっけあったのよ、同じものが。
  あっこれだ、って言って『ほら大泉くん、あるよ、値段聞いてみな』
  っていうからおっかなびっくり聞いてみたわけよ。ハウマッチ?っつったら
  俺が9万5千ドンで買ったTシャツを、そのおっさん3万ドンって言う。
  300円ですよ。もう社長だ河野だ爆笑してて。もうマジか!?オー
  サンキューって俺、通り過ぎようとしたわけ。そしたらおっさんが俺
  呼び止めて『おーまてまて2万5千ドン』更に値下げをしてくるわけですよ。
  いやーもうやめてくれ。これ以上俺のTシャツを値下げするのはやめてくれ。
  市価の5倍ぐらいで俺は買っちゃったね。そのおっさんは俺らに3万ドンで
  売るわけだから、ほんとにこっちでは10円ぐらい?」


藤尾「行きたくないすね。子供も自分が子供やっていうことを利用してますよね」

洋「でもそういう所ですよ。海外行ったらみんなそうだから。」

藤尾「日本は幸せだな」

洋「シビアな世界ですよね。でもやっぱり日本人はわかんなかったら払っちゃう
  からね。タクシーとか乗っても1メーター12000ドン、120円で
  いけるんだけど表示には12って書いてあるわけよ。よくわからんべと
  思ってタクシーの運ちゃんうちの副社に向かって12ドルって言うらしい
  のね。12ドルっていうことは1500円ぐらいするってことだから、
  全然違う桁で言ってきてるわけよ。わからんかったら12ドルか、って
  日本人1500円ぐらいか、まあいいかと思って払うからね。
  向こうにしてみたら120円が1500円になって入ってくるわけだから
  すごい違いなわけ。」

藤尾「大問題になりますよ。日本でそんなことやったらね。」

洋「日本人はそういうとこゆるいからやっちゃうのよ」

藤尾「今、スーパーに売ってる魚にしても品質表示やちょっとしたことで
   大問題になるじゃないですか。」

洋「そんなのとは違うよね」  

河野「パワーが違うって」

藤尾「パワーが違うのか」

河野「生きようっていう力」

洋「生きてくだけでも大変だし、ベトナム今まさに伸びてく国だからその辺が
  やっぱり楽しいよね。その辺わかっていって遊ばなきゃ。」


 洋ちゃんがベンタイン市場の話で言っていた、ベトナムのバッチャン焼きの
お皿って、日本の100円ショップでも売ってるところがあるみたいです。