そうだったのか

 洋ちゃんはオクラホマさん達に、よくご飯をおごってあげているが、
お店に行っても、オクラホマ自身にメニューを決めさせてあげないらしい。
洋ちゃんが食べたいものを、「君はコレ、君はアレ」って指定して注文する。
そして、なんでも少しずつ全部食べてみたい洋ちゃんは、来た料理を全部
つまむのだが、一番おいしそうな部分を食べる。カツカレーだと、真ん中の、
カツが一番大きくてカレーもたっぷりかかっている所とか。そして、全ての
料理を自分好みの味付けにする(つまり酢をかける)。まぁ、特に中華の場合
みたいだけど、あんかけとか、中華丼みたいなものには間違いなく酢をたっぷり
かける。洋ちゃん酢が好きだもんなぁ。それに対して、オクラホマさんは不満が
あるらしく、全員で食べる大皿料理に全部、自分好みに酢をかけまくるのは
どうかと。


洋「僕がお金を出してるんだから、君たちにメニューを選ぶ権利はないんだよ。
  中華を食べに行って、中華丼を食べたとしてもそれに何も言わずに酢を
  かけて食べたって文句は言えないんだよ。
  僕が『うどん食べに行こうか』と言うと、君たちは『いや、大泉さんとは
  うどんは食べませんねぇ。もっと高いもんがいいですねぇ。うどんやったら
  僕ら(自分のお金で)食べれますから』って言うじゃないですか。君たちが
  行くお店を決めてるんだから、メニューは僕が決めたっていいわけですよ。
  何がいけないんですか!僕のなにが。」

河野「何がか言いましょうか。全部“酢”ってことですよ」

藤尾「おまえ、そこやったの?!」

河野「それがたまに辛いものであったり唐辛子であったりカラシであれば
   まだいいんですよ」

藤尾「マジで?!お前、そこなの」

河野「僕はお酢があんまりすきじゃないです。いまさらですけど」

洋「だったら河野、俺も言わせてもらうけどね、俺はお前が酢が嫌いだって
  今、初めて知ったわ」

河野「僕は言わなかったですよ」

洋「僕がバンバン酢をかけてね、お前たちに『酢かけたらうまいんだよ、
  食ってみな』って勧めてるその時に聞きたかったね」

河野「言う前にいっつもかけてますし、あんなに美味しそうに酢かけてるの
   みんなが食べてたら『ちょっと酸っぱいの苦手なんです』とは
   言いづらいですよ」

洋「そうだったんだ。かなしいな、俺は。
  僕のね、お弁当をうちのお母さんが作ってくれる時にね、僕のお弁当に
  うちのお母さんはずっと生のピーマンを彩りに入れてましたよ。
  僕はでも生のピーマンが嫌いでね。だから僕は母さんに言ったわけですよ。
  『生のピーマンをただ入れるな、苦いだけだろ。炒めるなりマヨネーズを
  つけるなりしてくれよ』と怒ったわけですよ。するとうちの母は言った
  わけですよ。『何を言ってるんだ、お兄ちゃんは中学校三年間、ずっとこの
  ピーマンのお弁当よろこんで食べてたよ。ねー、潤?』そしたら横にいた
  兄貴が『僕、ピーマン大嫌いだよ』と。もう30を迎えようかという
  兄貴のかなしい告白に、お袋はもう泣いてましたよ。今、同じぐらい
  大泉さんも哀しかった。お前が酢が嫌いならもっと早く言って欲しかった。
  お前が酢が嫌いなら俺、酢かけないよ。」

河野「ホントですか?」

洋「フフフフフ」(絶対かけるぞ、というような笑い)

河野「これからは、かけないでくださいよ。もしくは取り皿で僕の分だけ
   先に取ってくださいよ」

洋「うるさい!お前なんかどうでもいいんじゃ」


 河野くん、酢は体にいいですから、これからもがんばって食べてくださいネ。